「私の人生、今のままでいいのかな?でも新しい挑戦をする勇気はない…」
「私らしい働き方ってなんだろう?」
そんなモヤモヤを抱えながら、仕事にプライベートに忙しい毎日を送っている方も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、そんな漠然とした不安を打ち破り、「新しい自分の可能性」に出会った広島市出身のきょうこさんです。
2025年3月に妙高はねうま複業協同組合(以下、組合)に入り、最も苦手意識を持っていた接客業に挑みました。6ヶ月後に卒業し、翌月の2025年10月からは組合の派遣先事業所の一つ「赤倉観光ホテル」に入社。現在はホテル内の飲食店でウェイティングスタッフ(注1)として働いています。
20代前半のきょうこさんが、なぜ妙高で挑戦を決意したのか。そして、組合のどんな後押しが、彼女を新しい働き方へと導いたのか。その心の変化も含めてお話を聞かせていただきました。
(注1)お客様に料理や飲み物を提供する接客係

━━妙高はねうま複業協同組合に入ったきっかけを教えてください
組合の存在を知ったのは、父が組合の事務局長と知り合ったことがきっかけでした。当時私は両親の農業を手伝いながら冬はホテルの客室清掃のアルバイトをしていたのですが、どこか「今のままでいいのかな」という漠然とした不安があったんです。
父を通して組合の話を聞く中で「妙高市をもっと発展させたい」「地元に根付いた仕事の価値を広げたい」という理念を掲げて活動していることにすごく共感しました。
父が自然農をやっていたこともあり、人や土地にやさしい取り組みや地域性を大事にすることに興味があったんです。共感できる取り組みをしているこの組合で働いてみたいと思ったのが1番の理由でした。
━━組合で働いた中で印象に残っていること、大変だったことはなんですか?
私は飲み込みが早いタイプではないので、新しい仕事に慣れるまでに時間がかかりました。
赤倉観光ホテルでウェイティングスタッフとして働かせていただいたのですが、トレイを持つこと自体初めてだったので、まずは持ち方を教えてもらうところから始まりました。一緒に働く従業員の皆さんに根気強く教えてもらいながら、なんとか馴染めた感じですね。

━━組合で働くことで自分自身に変化はありましたか
ものすごく変化がありました。それは接客という仕事に挑戦できたことです。
私はもともと人前に出ることに苦手意識があって、接客業なんて向いていないと思っていたんです。だから組合に入ったときも、接客業ではなく製造業など裏方の仕事を選ぼうと思っていました。
でも組合の事務局長から接客業を勧めていただいて、勇気を出して挑戦することにしたんです。今までの自分だったら、絶対接客業には挑戦しなかったと思います。

格式高いホテルでの接客経験は私にとってハードルが高かったのですが、その分「自分にも挑戦できた」という自信になりました。
今の自分の姿は組合に入る前からは想像できません。新しい自分の可能性を見出すことができた気がします。
なぜ他の派遣先へ行かずに就職したのですか
組合は基本的に、3ヶ月単位で違う事業所に派遣される仕組みです。ただ3ヶ月というのはちょうど仕事にも慣れてきた頃で、正直「新しい事業所に行きたい」というよりは「もう少しここで働いていたい」という気持ちが大きかったんです。
その理由は赤倉観光ホテルの従業員の皆さんが未経験の私を温かく迎えて、いつも真摯に接してくれたから。仕事もせっかく覚えたのに「他のところに行っちゃうのがちょっと嫌だな。ここにいたいな」と率直に感じました。

そこでまずは3ヶ月延長することにしたんです。基本は3ヶ月ごとなんですけど、派遣職員と派遣先事業所の希望がマッチすれば引き続き同じ場所で働くことも可能だったんです。
でも延長したはいいけど、また3ヶ月後には違う事業所に行かないといけないんだなっていうのがずっと心に引っかかっていて。本当はこのまま赤倉観光ホテルで働いていたいけど、未経験の自分がずっとここにいるのも迷惑かなって思う部分もありました。だから少し名残惜しいけど、6ヶ月後は違う事業所に行こうと思っていたんです。
そんなとき、赤倉観光ホテルの担当の方に「ここに就職する選択肢ってある?」と声をかけていただいて。正直そんなふうに声をかけていただけるなんて思ってもなかったので、びっくりしました。
━━今後の展望を教えてください
今後は「移住者の視点でこの地域の良さを伝える」という役割を担えたらいいのかなと思います。地元育ちだったら気付かないことも、移住者だから気付けることがあると思うんです。

例えば「新潟は空が近いからすごく眺めがいい」「この辺りは虹がすごく綺麗に見える」ということって、地元の人にとっては当たり前の風景だと思うんですけど、実はすごく魅力的なんですよね。そういった地域の良さを伝えていきたいです。
━━これから移住先や仕事を探す方へメッセージをお願いします
私自身「変わりたいな」という気持ちがあっても、自分1人ではなにから始めたらいいかわかりませんでした。組合に入らなかったら、きっと今も無難な選択しかしていなかったと思います。
私にとって組合は、新しい自分に出会わせてくれた場所であり、壁にぶつかったときにもサポートしてくれる安心できる場所でした。

もし「今のままでいいのかな」「自分にできることなんてあるのかな」とモヤモヤしている人がいるなら「妙高には頼れる場所があるよ」とメッセージを送りたいです。
移住を伴う転職ってちょっとハードル高く感じる部分があると思います。でも来てみれば意外となんとかなるものです。私自身、「やるしかない」という環境に身を置くのも必要な経験だったなと思いますし、周りの方たちに助けられてなんとか今があります。
妙高はねうま複業協同組合は私にとって安心して飛び込める挑戦の場でした。ちょっとでも気になる方はぜひ一度話を聞いてみてくださいね。
